4-5 極端紫外光科学研究系
国内評価委員会開催日:平成14年12月10日 委 員 上野 信雄 (千葉大工,教授)
辛 埴 (東大物性研,教授) 中川 和道 (神戸大発達科学,教授) 宇理須恆雄 (分子研,教授)
小杉 信博 (分子研,教授) オブザーバ 見附孝一郎 (分子研,助教授)
繁政 英治 (分子研,助教授) 加藤 政博 (分子研,助教授) 木村 真一 (分子研,助教授) 国外評価委員面接日:平成14年10月28日∼29日
委 員 A lexander M. B radshaw (Professor, and D irector General of Max-Planck-Institut fuer Plasmaphysik)
4-5-1 点検評価国内委員会の報告
国内委員による評価は,面接により,以下の研究グループの研究活動に関して行った。 (1)極端紫外光科学研究系
・宇理須グループ(反応動力学部門)
・小杉グループ(基礎光化学研究部門)
・見附グループ(反応動力学部門) (2)UV S O R
・繁政グループ
・木村グループ
・加藤グループ
4-5-2 国内委員の意見書
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・ 評価対象のスタッフは何れも放射光を利用した分子科学研究を推進あるいはそれを支える研究を行うことを目的とし ている。しかし,極端紫外光科学研究系と UV S OR のスタッフでは業務内容は異なっている。後者には上記研究推進 に加えて UV S OR 施設の維持管理を行なうという業務がある。過去,UV S OR スタッフの研究環境の問題が指摘され てきたが,UV S OR スタッフ数の改善等について着実な努力が行われている。この改善は十分とはいいがたいが,将 来においてより高度な研究成果を上げるためにその努力は高く評価される。
・ 研究グループのあり方について再考を要すると思われる。例えば,教授の研究グループの場合,教授が自ら研究を推 進できる時間が極端に制限される現状にあって,1名の助手と幾人かのポスドクで研究グループを構成する場合,世 界をリードする研究を推進し続けることは困難と考える。スタッフ(定員)数を増加することが困難である現状を考 えると,研究グループをジョイントするなどし,一グループあたりの研究者数を重点的に増やし,一層の研究成果を
上げられる強化チームを形成することも必要かと思われる。
・ 今回評価した UV S OR での研究成果は総合的に見て高く評価できるが,残念ながら,放射光を利用した分子科学研究 に つ い て の 戦 略 を 研 究 所 と し て ど の よ う に 位 置 づ け て い る か 十 分 に は 見 え て こ な い 。 極 端 紫 外 光 科 学 研 究 系 と UV S OR 施設以外の研究系のあり方とも関連するが,少ない研究グループ数で将来的にどのような放射光利用研究を 重点的にカバーする必要があるのか,前述のグループの強化と関連して総合的に検討することが望まれる。
(2)各グループの研究評価
宇理須グループ:本グループは,放射光励起反応を実際に有用なデバイス関連材料の表面改質・加工に関連させて研 究している。世界的に見て非常にユニークな研究といって良い。これまでの S iO2の放射光励起エッチングに関する研 究成果にもとづいて新しく開始された放射光励起 S i エッチング表面の S T M による研究は S T M システムをビームライ ンにおいて初めて利用することに成功した研究として高く評価される。一方,タンパクを利用したトランジスタの研 究も開始されている。本研究は生体分子機能の新たな展開に関連して重要な試みであることは明白であり,また L S I な ど多用な経験を持つ宇理須グループの新しい展開として期待されるが,マンパワーが十分でない極端紫外光科学研究 系の一グループが中心に行うべき研究かどうか必ずしも明瞭ではない。
小杉グループ:分子の NE X A F S 実験と NE X A F S 計算を両立させ実験と理論計算の連携研究を推進している特徴あるグ ループで,着実な成果が得られている。ホットなトピックスを追いかけるという最近ありがちな研究ではなく,基礎 学術を根底から支える類の研究であり,高く評価したい。特に分子の NE X A F S の計算法に関する理論的研究では卓越 した成果をあげており,その発展の重要さとさらに関連分野への貢献を考えると,今後本グループのマンパワー上で の強化が望ましいと思われる。
見附グループ:レーザーと放射光を組み合わせた気体分子の光励起反応に関する分光学的研究では過去多くの成果を 上げている。しかし,最近の研究を見る限りその独自の進展は以前ほどではなく,本グループの力量を生かすべく一 層の努力が望まれる。
繁政グループ(UV S O R ):光励起によるイオン放出を利用して分子の結合方向を特定し,光電子角度分布を測定する 研究は世界的に見てユニークな研究である。同グループでは単にその研究を継続するだけでなく,新たな試みが推進 されており,今後の発展が期待される。
木村グループ(UV S O R ):現在は着任後の研究立ち上げ期間中であり,現時点で研究成果を評価できないが,研究計 画から判断する限り今後の進展が期待される。
加藤グループ(UV S O R ):加速器のメインテナンスなどの多忙な業務を行いながら,自由電子レーザーに関する研究 に着実な成果を上げている。自由電子レーザーと放射光をカップルさせた実験が計画されており高く評価できる。
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小杉グループの理論に関しては,世界に発信できていることは理解できた。新しいタイプの軟X線発光分光器は開発 的要素が多く大変だと思うが,是非,所定の性能が出るまでやり遂げて欲しい。この分光器はスポットサイズが小さ いことが分解能をあげる必要条件なので,他の高輝度光源で使用することも考える必要があるであろう。
繁政グループ等によるガスの研究はオーソドックスな実験なので,測定器に独創的な発想等が求められる。それを実 行するために必要な豊富な資金のサポートが必要であろう。また,UV S OR 以外の高輝度光源の使用は必要である。 見附グループ等によるレーザーと照射光の同時照射に関しては,これまでのように実験を行っただけで,ほめられた 時代は過ぎつつある。他の放射光施設でも,実験や計画が急速になされており第2世代の利用研究が始まりつつある。 UV S OR では先駆的な実験を始めている事は世界的にも認められているが,他に負けないようなめざましい成果を更に 上げる必要がある。
宇理須グループのサポーテッドメンブレンによるタンパクトランジスタの形成は,新しい発想によって行われており 興味深い。この様な研究は欧米で現在活発な研究が始まりつつあるが,日本においても早急に行われるべきである。学 際的な研究分野でもあるので,半導体微細加工技術を利用した独自の発想を実用化させるためには研究所内外との共 同研究等も積極的に進めるべきである。
木村グループの赤外領域の研究に関しては,これまで通り,装置の改造を重ね,成果を出していって欲しい。日本で, 放射光の赤外利用は UV S OR と S Pring-8 のみしかないので,貴重な光源である。物性物理だけでなく,生物利用もやっ て欲しいが,マンパワー的に無理だと思うので,外部共同研究者との連携を模索したらいいと思う。また,UV S OR は 固体の高分解能光電子分光に向いている装置である。これまでこの様な研究が全くなかったのが不思議であった。今 回,この様な計画を出してくれてうれしい。この分野は高輝度光源を用いる必要がないので,UV S OR が世界のセンター になれるようがんばって欲しい。
放射光利用研究者は実験をしていると,実験する光のエネルギー範囲を広げようとする誘惑に駆られる。UV S OR で も使用するエネルギーを高くしようとする傾向がある。しかし,UV S OR では他でできないような 200 eVくらいまで の低エネルギー領域に特化すべきかと思われる。このエネルギー領域をカバーする放射光施設は逆に少なくなりつつ ある。無理をして高いエネルギーを出して他の最新の放射光施設に対抗してもとてもかなうとは思えない。最も得意 な領域で,活躍するようにした方がいいかと思われる。また,光エネルギーが下がると輝度は急激にあがるので,低 エネルギー領域では高輝度光源である必要はなく,UV S OR の輝度で十分である。その場合,エネルギーの高いところ は使用できないが,UV S OR 以外の放射光施設も積極的に利用した方がいい。UV S OR のみで完結した研究はもはや無 理であろう。エネルギー的に相補的な放射光施設と連携を深めることは相手側施設にもメリットがある。
UV S OR が第二世代光源であるにもかかわらず,元気がある源は,
1. いつでも使える上に,自由な発想で利用に関してやりたいことができる専用ビームラインの存在 2. 測定器作成にかける(他の施設に比べれば)比較的豊富な資金の存在
である。この特徴はこのまま堅持すべきと思われる。しかし,資金に関してはもう少しないと,世界に発信できるほ ど自由な研究ができないかと思われる。このままだと世界的なレベルに追いつくことはできても発信するところまで は行かない。資金があれば今のような研究テーマでも十分可能かと思われる。
UV S OR のライバルは他の放射光光源ではなく,軟X線レーザーに代表する軟X線領域の代替え光源かと思われる。 他の放射光以外の光源が UV S OR 並になったときに UV S OR の役目は終わるので,そのときを目指して,次期計画を立 てるといいかと思われる。
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極端紫外光科学研究系の評価は,本委員が日頃から把握している各グループの主な活動に加え,9月頃にあらため て送付されてきた各グループの主な論文,分子研リポート’ 99および同2001,A nnual R eview 2000 および 2001 などを もとに準備された。さらに12月10日,宇理須教授のオーガナイズのもと,研究系のメンバーである宇理須教授,小杉 教授,見附助教授につづいて UV S OR 施設のメンバーである繁政助教授,木村助教授,加藤助教授の計6名の研究者に 面接を行った。
2.高度化
今回の評価にあたって特徴的なことは,高度化に踏み込みつつある段階での各グループの活動にじかに接した点で ある。とくに加藤グループは現在進行形でその直接的な担い手であり,「創造のビーカーに手を突っ込んでかきまわし ている」ホットな状況での評価となった。今後15年間程有効な競争力を維持する決め手として第2世代の蓄積リング としては妥当な低エミッタンス化をねらい,アンジュレーター挿入が可能な直線部を低ベータ化しつつ数多く確保す る方向は極めて適切であり,次期マシンの新規計画までの当面の時間内に新しい機能を確保するうえで重要な自由度 をもたらすものである。ビームラインの名称にアンジュレーターを意味する U がつけられ(5A → 5U など),大いに期 待がもてる状況である。
しかしマシンそのものの老朽化は厳然とした事実であり,2002年11月の水漏れ事故のような老朽化事故が再発する 危険性は常につきまとう可能性がある。高度化と老朽化対策との両者をいかに両立させつつ達成するかがここ当面の カギとなろう。
3.現状の概括的な評価
極端紫外光科学研究系の各グループは,以前から指摘されているようにごく限られた人数であるという問題を有す る。しかしながら,この系は世界的に高い競争力を発揮し維持している。理論研究の面では,スピン軌道相互作用を とりいれた内殻の ab initio 計算を世界に先駆けて実行しているなど,小杉グループの活動が大きな特徴である。このグ ループはまた軟X線発光分光などの実験も手がけており,理論実験の両面にわたる活動が有意義である。見附グルー プによって遂行されているレーザーと S R の同期実験は,分子振動の高い倍音成分をレーザーで励起するとともに S R 励起を行うという分子科学ならではの興味深い実験で,UV SOR のみならず分子研全体の活動を特徴づけるものである。 このグループによるフラーレン類の研究も特徴的である。金属包接フラーレンの気相での分光研究の最大の問題点は 試料の確保の困難さであるが,分子研あるいは機構の中にある S R の強みを最大限に生かしていくべきである。宇理須 グループのシリコン表面に生体物質を集積して機能をもたせていく研究は,バイオナノテクノロジーを具現するもの で,極めて興味深い。
施設スタッフの繁政グループは新ビームラインの建設の終盤にあり,しきい電子分光,オージェ過程の新たな見直 しなどの新しい研究分野を開拓しようとしている。新たな発展を期待したい。木村グループは赤外分光から軟X線電 子分光にまで幅広いアクティビティをもつ新しいグループである。赤外のビームラインを有するのは国内ではUV S OR と S Pring-8 のみであり,前者のスループットの大きさと後者の高い輝度とを上手に生かしつつ住み分け,分子研がこ の分野で世界的な競争力を発揮することを期待したい。
4.放射光が分子科学をいかに担うかについて
UV S OR は,分子科学研究にとって顕著な特徴と極めて高い性能をもつマシンである。このことをフルに活用し放射 光分子科学のいっそうの発展を期するうえで,UV S OR がカバーすべきエネルギー範囲についての検討が必要である。
すなわち,放射光分子科学における分光は,50 eV以下と 50 ∼ 200 eVのエネルギー範囲とでそれぞれ独立の研究内容 を呈するが,分子研としては 50 eV 以下をねらった高度なアンジュレーターがあってもよいのではないか。例えば, S Pring-8 では軟X線領域で 100 Hz のスイッチング能力をもつ円偏光アンジュレーターがテストを控えているが,50 eV 以下のこういう高度なアンジュレーター計画はUV S OR こそが計画すべきものである。見附グループのフラーレンの研 究をはじめ,50 eV 以下のアンジュレーターによって新たな展開が期待される分野は放射光分子科学の領域には多数存 在すると思われる。
4-5-3 国外委員の評価
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P rofes s or T s uneo Uris u
Professor Urisu’s research interests encompass the study of the mechanisms of surface reactions induced by synchrotron radiation, the further development of the so-called buried metal layer (BML) technique for increasing the sensitivity of IR reflection-absorption spectroscopy on semiconductor surfaces and the investigation of molecular self-assembly in adsorption from solution. The first area of research derives from Professor Urisu’s work at the NTT LSI laboratory 1984–1992 where he was interested in synchrotron radiation-stimulated etching of Si surfaces for its possible application in device fabrication. The crucial measurement of the wavelength dependence of such processes is planned for the near future, but requires high flux undulator radiation. The BML method is very clever and has been used recently to obtain considerably better quality (S/N) vibrational spectra of hydrogen and of molecules adsorbed on silicon surfaces. An ingenious new method of sample preparation promises to extend greatly the breadth of application. The self-assembly work is the first step in a wider project involving artificial membranes and biological sensor development which has great potential for the future.
Professor Nobuhiro Kosugi
As Director, Professor Kosugi has been able to maintain the international reputation of the UVSOR facility by constantly improving instrumentation. The latest and most prominent example is the upgrade which will begin in the Spring of 2003. This will create— without changing the circumference—four new short straight sections which can also be used for insertion devices. Even though the storage ring has to compete with machines of the so-called third generation, which have a larger number of straight sections and (for XUV undulators) a higher energy, the improvements will ensure that UVSOR will have several more years of useful life. Professor Kosugi is also a talented theoretician who has contributed greatly to our basic understanding of core and valence level photo- ionisation processses. At the same time he runs a successful facility and is very much involved in innovative experiments in photoion and photoelectron spectroscopies, partly with Professor Shigemasa. On the theory side, his most recent contributions—as yet unpublished—include the ab initio calculations of S 2p molecular photoelectron spectra with exchange and spin-orbit interactions, experimental and theoretical investigations of so-called matrix effects in the excitation of core level Rydberg states as well as studies of spin-forbidden valence photoionisation.
Professor Toshihiko Yokoyama
Professor Yokoyama has just arrived at IMS from the Department of Chemistry, University of Tokyo where he worked as Lecturer and later as Associate Professor in Professor Ohta’s laboratory. A previous station had been a post-doctoral appointment in the prestigious thin magnetic film group at the Free University of Berlin (Professor Baberschke). His most recent work in Tokyo has been on the investigation of chemisorption-induced spin-orientation transitions in thin magnetic layers. Using magnetic circular dichroism he was able to show, for example, that CO adsorption extends the thickness region of ultrathin Co and Ni films on Pd(111) and Cu(100), respectively, in which perpendicular magnetic anisotropy (PMA) is observed. Another highlight has been his work on molecular-based magnetic materials, for example, studying phase transitions and photon-induced spin transitions in Prussic acid analogues using EXAFS and near edge spectroscopy. His work in the past has centered on Photon Factory where he has also made significant contributions to developments in instrumentation. In future, it is to be expected that Professor Yokoyama will adapt his scientific programme to take full advantage of the possibilities offered by UVSOR. He will undoubtedly make a highly important contribution to the Department in the years to come.
Associate Professor Koichiro Mitsuke
Professor Mitsuke has a convincing track record in studies of photoionisation and photofragmentation phenomena using both synchrotron radiation and laser-based techniques. The experiments are carefully thought out, cleverly performed and, in some cases, quite unique. Two recent examples are provided by the spectroscopic characterisation of photofragments (obtained by photoionisation using synchrotron radiation) with laser-induced fluorescence (e.g. N2+from N2 or N2O and CN from CH3CN) as well as with
“conventional” fluorescence spectroscopy (e.g. H*, OH+ and OH from H2O). A recent experiment, similar in spirit, has been an investigation of the laser photoionisation of polarised argon atoms produced by the excitation of Rydberg states below the first ionisation potential using linearly polarised synchrotron radiation. Photon energy-dependent photoelectron spectra in the valence region of sulphur-containing molecules (“two-dimenensional photoelectron spectroscopy”) have been recently used to gain insight into autoionisation phenomena and the neutral dissociation of superexcited states. This is all very good work.
Associate Professor Eiji Shigemasa
Keeping successful international co-operations alive and producing excellent results in one’s own laboratory is not easy. Professor Shigemasa seems, however, to have succeeded very well. He has recently produced two quite important papers with the Orsay and Nevada groups, one of them perhaps being a classic (“Non-dipolar electron angular distributions from fixed-in-space molecules,” Physical Review Letters, July, 2002). Professor Shigemasa was involved in earlier, pioneering work on fixed-in-space moecules
with Yagishita. A simple, but rather exciting experiment performed recently at UVSOR has been the measurement of the 1s core level excitation spectrum (essentially the absorption spectrum) of the nitrogen molecule using ion yield spectra measured in different directions relative to the electric vector of the incident synchrotron radiation. The predicted doubly excited states were clearly identified and an additional feature was ascribed to a triply excited. Professor Shigemasa is planning to measure threshold core level photoelectron spectra in co-incidence with fluorescence spectra in order to eliminate the effect of post-collision interaction. This will be a difficult (not many photons! ), but it will be a very exciting experiment.
Associate Professor Shin-ichi Kimura
Professor Kimura was appointed this year, having previously worked at the University of Kobe. His research interests encompass the optical and magneto-optical properties as well as the electronic band structure of strongly correlated systems, in particular rare- earth compounds, organic superconductors and clathrates. He has used (and will use in future) the far infrared component of the synchrotron radiation spectrum, in particular for samples with small dimensions or for microscopy. For this purpose Professor Kimura is building a new beam-line on UVSOR. He also enjoys fruitful collaborations with Professor Nanba in Kobe and, in particular, with Professor Steglich in Dresden, Germany, one of the leading addresses for heavy fermion systems. It is expected that Professor Kimura, as in the case of Professor Yokoyama, will be an important asset to the Department, not only making full use of UVSOR, but also producing world class work.
Associate Professor Masahiro Katoh
Synchrotron radiation sources require good machine physicists, not only to bulid them, but also to achieve optimum performance during operation and to carry out necessary improvements and upgrades. Professor Katoh has already improved performance (increase of time between injections from 4 h to 6 h, initial beam current increase from 250 mA to 300 mA, a new in-vacuum undulator to replace the superconducting wiggler, etc.) and designed the new lattice to be implemented during the upgrade next year. The new undulator goes up to 120 eV on the first harmonic. As noted above, the new lattice will create four new short straight sections by replacing all the separate quadrupole and sextupole magnets of the old lattice with “combined function” magnets which have both quadrupole and sextupole fields. The bending magnets will remain unchanged. At the same time, the lower emittance (27 nm-rad as opposed to 165 nm-rad) will be an important factor in obtaining high spectral resolution and high photon flux on the various monochromators installed on the undulator beam lines. Professor Katoh is doing an excellent job.
Alexander M. Bradshaw Garching, November 2002
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宇理須恒雄教授
宇理須教授の興味は放射光によって誘起される表面反応機構,半導体表面での赤外反射吸収分光のさらなる感度向 上のためのいわゆる埋め込み金属層基板(B ML )技術のさらなる発展および,その応用としての溶液からの表面への 分子の自己組織化反応である。最初の分野は宇理須教授の1984−1992年のNT T L S I研究所での放射光エッチングとそ の応用の研究に端を発している。その研究における非常に重要な励起波長依存性の研究が近い将来計画されているが, そのためには,大きなフォトンフラックスが得られるアンジュレータを利用できることが必要である。B ML 技術は大 変賢明な技術で最近この方法により S i 表面に吸着した水素および水分子のかなり良い S /N の振動スペクトルを得るこ とに成功した。現在研究中の独創的な新しい B ML 基板の作成方法は幅広い新しい応用に広がるであろう。自己組織単 分子膜の研究は,将来の大きな可能性を秘めた人工細胞膜やバイオセンサー開発を含む広範囲なプロジェクトへの最 初のステップである。
小杉信博教授
施設長として小杉教授は装置群をコンスタントに改良し続けることによってUV SOR 施設の国際的評価を維持するこ とに成功してきた。最近の最も目立つ例として2003年春に開始する施設の高度化がある。これは電子蓄積リングの周 長を変えることなく,4つの新しい短直線部を作り出すもので,新しい直線部は挿入光源にも使うことができる。た とえ,UV S OR 蓄積リングはいわゆる第3世代光源装置と競っていかなければならないにしても(第3世代光源装置で は多数の直線部と高い光エネルギーが可能),UV S OR の改良,高度化は施設をさらに数年,有用な施設であることを 保証するものになろう。
小杉教授はまた,内殻準位と価電子準位の光イオン化過程の基礎を我々が理解することに大いに貢献している才能 ある理論家でもある。それと同時に彼は高性能な装置群を利用して,光イオンや光電子の分光学に於ける新機軸の実 験的研究に非常に大きく寄与している。繁政助教授との共同研究もそのひとつである。小杉教授の最近の貢献(まだ 論文未発表)としては,交換相互作用とスピン軌道相互作用を持つイオウ 2p 領域の分子光電子スペクトルの ab initio
計算,スピン禁制価電子光イオン化の実験及び理論的研究,内殻準位でのリュードベリ状態への励起におけるいわゆ るマトリックス効果の実験及び理論的研究が含まれている。
横山利彦教授
横山教授は東京大学(大学院理学系研究科)化学専攻から IMS に赴任したばかりである。東大では太田教授の研究 室 で 講 師 , 助 教 授 と し て 勤 務 し て い た 。 さ ら に そ の 前 に は , ベ ル リ ン 自 由 大 学 で は , 権 威 あ る 磁 性 薄 膜 グ ル ー プ
(B aberschke 教授)の博士研究員の地位にあった。彼の東京での最も最近の研究は磁性薄膜における化学吸着誘起スピ ン再配列転移についてである。磁気円二色性を用いて,例えば,Pd(111)上の C o 薄膜,C u(100)上の Ni 薄膜において, C Oの吸着により垂直磁化が観測される膜厚領域が広がることを示すことができている。もう一つのハイライトは分子 磁性体に関してである。例えば,プルシアンブルー誘導体における相転移や光誘起スピン転移を E X A F S とX線吸収端 構造分光法により研究している。以前の彼の研究は Photon F actory に中心がおかれており,そこで彼は装置開発におい ても大きな貢献をしてきた。将来的には,横山教授は,彼の研究計画を,UV S OR を十分に利用することで遂行できる と期待できる。彼は来るべき数年において間違いなく非常に重要な貢献をするだろう。
見附孝一郎助教授
見附助教授は放射光とレーザーの両光源技術を用いて光イオン化と光解離の研究を行っており,説得力のある業績 をこれまで上げている。どの実験も注意深く考え抜かれ,手際良くなされ,そしてその内のいくつかは類例の無いユ ニークなものである。一例として放射光イオン化で解離したフラグメントのレーザー分光を上げることができ,N2ま たは N2O から生成する N2
+
もしくは C H3C N から生成する C N の内部状態をレーザー誘起蛍光法で観測している。また, H2O の放射光解離で生じた H*,OH
+
,OH 等を伝統的な蛍光分光法で検出している。最近では,同じく放射光とレー ザーの併用を意図して,直線偏光した放射光で第一イオン化ポテンシャルよりも低い励起状態にある偏極した A r リュ ドベリ原子を生成し,それをレーザーイオン化するという研究を行った。さらに,硫黄を含む分子の光電子エネルギー に依存した光電子スペクトルを価電子励起領域において測定し(いわゆる2次元光電子分光法),超励起状態の自動イ オン化や中性解離に関して洞察を深めている。以上の研究はすべて非常にすぐれたものである。
繁政英治助教授
国際協力研究を継続的に成功させつつ,更に自身の研究室においても優れた研究成果を生み出すことは容易ではな い。しかしながら,繁政助教授はそれに非常に上手く成功しているように思われる。最近,彼は Orsay と Nevada 大学 の研究グループとの共著で,二つの極めて重要な論文を発表した。その内の一つは恐らくは最高水準のものである(「空 間に固定された分子からの非双極子的な光電子角度分布」,Physical Review Letters,2002年7月)。繁政助教授は,か つて柳下教授(物構研)と共に空間固定分子に関する先駆的な仕事に従事していた。UV S OR において最近行われた単 純ではあるがエキサイティングな実験に窒素分子の 1s 内殻励起スペクトル(本質的には吸収スペクトル)の測定があ
る。放射光の電気ベクトルに対して異なる方向でイオンの生成スペクトルを測定することにより,理論的に予言され ていた二電子励起状態を明確に同定すると共に,三電子励起状態に帰属されるスペクトル構造も見出した。繁政助教 授は,軟X線蛍光との同時計測を行うことにより,衝突後(Post C ollision Interaction)効果を除去した内殻しきい光電 子スペクトルの測定を計画中である。これを実現するのは容易ではない(光子数が多くない!)が,極めてエキサイ ティングな実験となるだろう。
木村真一助教授
木村助教授は今年採用され,以前は神戸大学に勤務していた。彼の研究は,強相関系,特に希土類化合物,有機超 伝導体,クラスレートの光学・磁気光学的性質,電子バンド構造を含んでいる。彼は放射光の遠赤外装置,特に微小 な試料や顕微分光のためのものを使っていた(また将来も使うであろう)。この目的のために,木村助教授は UV S OR に新しいビームラインを建設している。彼はまた,神戸の難波教授や特に重い電子系での先導者の1人であるドイツ・ ドレスデンのステイグリッヒ教授との多くの共同研究を行っている。木村助教授は,横山教授の場合と同じように, UV S OR を十分に使うばかりでなくワールドクラスの仕事をする研究系の重要な人物になるであろう。
加藤政博助教授
シンクロトロン放射光源には優れた加速器の専門家が必要である。それは光源加速器を建設するためだけではない。 光源性能を維持し,また必要な改良,高度化を行うためである。加藤助教授は既に光源加速器の性能向上を実現して いる(入射間隔を4時間から6時間へ延長,蓄積電流値を 250 mA から 300 mA へ増強,超伝導ウィグラの真空封止型 アンジュレータへの置き換えなど)。また,来年予定されている光源の高度化改造へ向けた新しいラティスの設計も行っ た。新しいアンジュレータは一次光が 120 eV まで達するものである。上で述べたように新しいラティスでは4つの短 い直線部が創出される。これは既設の四極や六極電磁石を,その両方の機能を併せ持つ複合機能型の電磁石で置き換 えることで実現される。偏向電磁石には手を加えない。高度化で実現される低エミッタンス化(現在の 165 nm-rad に 対して 27 nm-rad)はアンジュレータビームラインに設置される様々なモノクロメータにおいて高分解能・高光束密度 をもたらす重要な要因になる。加藤助教授は優れた業績をあげつつある。
アレキサンダー エム . ブラッドショウ ガーシング,2002年11月